図書カードの天沢聖司

受験を控える中学3年生の月島雫は、夏休みを迎えている。雫は、図書館員の父の靖也、社会人学生として大学院に通う母の朝子、大学生の姉の汐と、小さなアパートで暮らしている。本が好きな雫は、図書館から多くの本を借りている。雫は、図書カードに書かれた名前から、天沢聖司という人物が自分と同じ本をよく借りていることに気づく。

少年との出会い

雫は図書館で本を借り、親友の夕子と会う。夕子に頼まれていた「カントリー・ロード」の訳詞を渡し、ついでに考えた「コンクリート・ロード」というタイトルのパロディの訳詞も渡す。さらに、ラブレターをもらったが、別に好きな男子がいるという話を、夕子から聞く。夕子が好きな男子とは、野球部の杉村だった。帰り道で、図書館で借りた本をベンチに忘れた事に気づいた雫。取りに戻ると、1人の少年が雫の借りた本を読んでいる。少年は雫に「コンクリート・ロードはやめた方がいいぜ」と言い、雫は怒りながら帰る。

地球屋

次の日、いつものように図書館に行く雫。図書館で働く父の弁当も持っていく。列車に乗った雫は、大きなネコが乗っていることに気づく。雫と同じ駅でネコも降り、雫はネコを追いかける。ネコを追いかけて丘の上に出た雫は、西というおじいさんが営んでいる小さな古道具屋「地球屋」を見つけて中に入る。フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵というネコの像(バロン)が気になる雫。おじいさんと話しているうちに時間が過ぎてしまい、雫はあわてて図書館に向かう。だが、父の弁当を地球屋に忘れており、昨日会った少年が自転車で届けてくれる。弁当箱の大きさを少年に揶揄された雫は怒る。

夕子の相談

新学期が始まる。学校の図書館に「天沢文庫」からの寄贈の本があることを知った雫は、ベテランの先生に事情を聞き、同じ学年に天沢家の末っ子である天沢聖司がいると聞く。また、雫は「カントリー・ロード」の新しい訳詞を夕子たちに渡す。一方、夕子は、夜に雫を呼び出して、杉村からラブレターの返事を催促されたことを、泣きながら雫に話す。

杉村の告白

翌日、杉村は雫を呼び、神社で夕子の話をする。どうして夕子が泣いて逃げたかが分からない杉村に、夕子は杉村を好きだからと説明する雫。杉村は、雫のことが好きだと言う。驚いた雫は、友だち以上の感情がないことを杉村に告げる。家に帰った雫は、自分が杉村の気持に気づいていなかった鈍さに落ち込み、机の上で眠ってしまう。

「カントリー・ロード」

目を覚ました雫は、地球屋を訪れる。店は閉まっていたが、前に弁当を届けてくれた少年がやって来て、雫を店の中に入れてくれる。店の地下には工房があり、少年はそこでバイオリン作りの練習をしていたのだった。少年にバイオリンの演奏を頼む雫に対し、少年はバイオリンを弾く代わりに雫に歌うように言う。少年は「カントリー・ロード」を演奏し、自分で訳した詩で歌う雫。歌い終わったあと、雫は少年の名前が天沢聖司であることを知る。夜道を一緒に歩きながら、聖司は雫に、中学を卒業したらイタリアのバイオリン学校に通いたいが、家族が反対している話をする。

イタリアへ

翌日の学校の休み時間、聖司が雫のクラスに来て、雫を呼び出す。クラス中が大騒ぎになり、雫は聖司を屋上に連れて行く。雫は聖司から、テストとしてとりあえず2カ月イタリアに行くことになったことを聞く。聖司は雫に、雫の訳した「カントリー・ロード」唄って頑張ると話す。さらに、以前から雫のことが気になっていたことを話す。

物語を書くことに

夜。雫は夕子の家を訪ねる。聖司と離れてしまうことや、すでに目標のある聖司がうらやましく感じることなどから混乱している雫。夕子は、雫には才能があると励ます。雫は、書きたいと思っていた物語を書くことに決める。バロンを主人公にすることに決めた雫は、地球屋のおじいさんの元を訪ねて許可をもらう。快諾するおじいさんだったが、自分を最初の読者にするように雫に頼む。

雫の両親

物語の題材とするために、図書館で石について調べている雫の前に聖司が現れ、明日イタリアに旅立つことを告げる。執筆に夢中になる雫は、授業中にも物語を書き、家族と一緒に食事も取らなくなる。模擬試験の成績が一気に悪くなったことから、雫の両親は雫と話をする。雫の固い決意を知った両親は、雫の好きなようにさせる。

書き上げた物語

「耳をすませば」というタイトルの物語を書き上げた雫は、約束通り地球屋のおじいさんに読んでもらう。おじいさんは褒めてくれるものの、物語が不完全であることが分かっている雫は、読み終わったおじいさんの前で号泣する。おじいさんは、これからも才能を磨いていくように話し、雫にうどんを食べさせる。その後、おじいさんはバロンの話をする。かつておじいさんがドイツに留学していた時、バロンに一目ぼれをした。バロンは恋人の人形とセットだったが、恋人の人形は修理に出されていた。戦争前にバロンだけを買ったおじいさんは、修理が終わった恋人の人形をドイツ人の女性から受け取るはずだった。だが、戦争でかなわず、バロンもおじいさんも、愛する女性との再会を果たせていないのだった。

大好きだ!

翌日の早朝。目を覚ました雫が窓の外を見ると、帰国していた聖司がいる。急いで外に出る雫。聖司の自転車に2人乗りをして、聖司の秘密の場所である丘の上に向かう。丘の上から美しい朝日を見た聖司は、雫に「今すぐってわけにはいかないけど、俺と結婚してくれないか!」と言い、雫は受け入れる。聖司は雫を抱き締め、「大好きだ!」と叫ぶ。

人物 1 耳をすませば

月島 雫

俳優:本名 陽子 月島雫は、読書好きの中学3年生の少女である、映画「耳をすませば」の登場人物。図書・・・館員の父の靖也、社会人学生として大学院に通う母の朝子、大学生の姉の汐と、小さなアパートで暮らしている。読書が好きで、学校と市立図書館で多くの本を借りて読んでいる。親友は夕子で、男子の杉村とも仲がいい。 夏休み中に多くの本を読むことを目的と・・・
人物 2 耳をすませば

天沢 聖司

俳優:高橋 一生 天沢聖司は、バイオリン職人を目指している中学生である、映画「耳をすませば」の登場・・・人物。祖父の西が営む古道具屋「地球屋」にある工房で、バイオリン作りの練習をしている。中学を卒業したら、イタリアのクレモーナに修行に行きたいと思っているが、家族から反対されている。雫のことが以前から気になっており、雫に気づかれるために、雫が読・・・
人物 3 耳をすませば

西 司朗

俳優:小林 桂樹 西司朗は、天沢聖司の祖父で古道具屋「地球屋」を営んでいる、映画「耳をすませば」の・・・登場人物。戦前はドイツに留学していた。その時に、店に置かれていたネコのバロンの人形を気に入るが、バロンは修理に出している恋人の人形とセットのために売ってもらえなかった。だが、ルイーゼという女性が、修理から戻ってきた恋人の人形を買って、日本に・・・
セリフ・名言 1 耳をすませば

聖司「さて、どうしてでしょう?」

0:12:25頃 図書館で借りた本を学校のベンチに忘れた雫。ベンチに取りに戻ると・・・、1人の少年が雫の借りた本を読んでいた。少年は、雫の名前を知っていた。「どうして?」と聞く雫に少年は謎めいた答えをする。このセリフは、地球屋に忘れた父の弁当を少年が届けてくれた時、「どうして?」と聞く雫に、再び少年が使う(0:28:35頃)・・・
セリフ・名言 2 耳をすませば

雫「あーあ、せっかく物語が始まりそうだったのに・・・」

0:19:00頃 ある日、市立図書館に向かうために電車に乗った雫は、太ったネコが・・・乗っていることに気づく。雫の横に座ったネコは、雫と同じ駅で降りていく。図書館の方に向かっていくネコを追いかける雫。だが、信号待ちしている間に、ネコを見失ってしまう。本や物語が好きな雫の一言。・・・
セリフ・名言 3 耳をすませば

西「そうか、お嬢さんはドワーフを知ってる人なんだね」

0:26:10頃 一度は見失ったネコを再び見つけた雫。ネコを追いかけた雫は、丘の・・・上にある古道具屋「地球屋」を見つける。興味をそそられた雫が中に入ると、主人のおじいさんが声をかけてくる。古時計の修理を終えたおじいさんが時計を動かすと、オルゴールの音色とともに宝石を発掘するドワーフの人形が動き出す。物語が好きな雫はドワーフ・・・
音楽 1 耳をすませば

カントリー・ロード

「カントリー・ロード」は、1971年にアメリカの歌手のジョン・デンバーが発表した・・・曲。日本でのタイトルは「故郷に帰りたい」だった。1974年には、オリビア・ニュートン・ジョンがカバーし、ヒットした。「耳をすませば」では、オープニングでオリビア・ニュートン・ジョンの歌声が使われている。 コーラス部の後輩に贈るために、夕子・・・
音楽 2 耳をすませば

サントラ、スコア

「耳をすませば」の音楽を担当しているのは、野見祐二。発売されているサウンドトラッ・・・ク(サントラ)には、以下の曲が収録されている。 1. 丘の町 2. 猫を追いかけて 3. 地球屋 4. エルフの女王 5. 夏の終わり 6. 打ち明け話 7. 電車に揺られて 8. 丘の上,微風あり 9. エンゲルス・ツィマー(天使の部屋・・・
キーワード 1 耳をすませば

バイオリン、楽器

天沢聖司はバイオリン職人を目指しており、祖父の西のアトリエを借りてバイオリン作り・・・に励んでいる。中学を卒業したら、イタリアのクレモーナに修行に行きたいと考えている。だが、家族から反対されており、賛成してくれるのは西だけである。雫は、バイオリン職人を目指している聖司の姿に感嘆する一方で、目標のない自分を見つめ直すことになる・・・
キーワード 2 耳をすませば

読書、図書館、読書カード

大の読書好きの雫は、夏休みの間に大量の本を読むために、学校の図書館と市立図書館を・・・フル活用している。学校の図書館が閉まっている時に、保健室の高坂先生に頼んで開けてもらうほどである。自分が借りた多くの本の読書カードに、「天沢聖司」という人物の名前があることに気づき、興味を持つ。また、学校の図書館には「天沢文庫」から寄贈され・・・
キーワード 3 耳をすませば

古道具屋「地球屋」

「地球屋」は、雫が通う市立図書館の真上にあたる丘の上にある古道具屋。裏口やベラン・・・ダからは、町が一望できる。西司朗が1人で営んでいる。不定休で、開いていることの方が少ないという。電車に乗るネコの後をついていった雫が偶然見つけて中に入り、ネコの人形(バロン)に興味を持つ。また、城にあったという大きなからくり時計が動くところ・・・
作品一覧