フランス領モロッコ、カサブランカ
時は第二次大戦。フランスがナチス・ドイツに降伏し、フランス領モロッコの都市カサブランカは、間接的にナチス・ドイツに支配されている。カサブランカには、アメリカに向かおうとする亡命者たちが、中継地として集まっていた。だが、ほとんどの亡命者は、ビザを得られずにカサブランカに留め置かれている。ナチスの連絡員を殺した犯人を探して、フランス警察が怪しい人物たちを逮捕し、カフェの客たちもざわめいている。そんな客から財布を盗む男の姿も。
リックの店
1機の飛行機が到着する。降りてきたのはナチスの高官であるシュトラッサー少佐。フランス警察のルノー署長が出迎える。連絡員殺人犯の捜査状況について聞かれたルノーは、今夜リックの店で逮捕すると話す。夜。黒人のサムがピアノの弾き語りをするリックの店は、多くの客でにぎわっている。バーから扉を隔てた部屋はカジノになっている。そこにリックがいた。リックのもとにウーガーテがやって来る。ウーガーテは高額で出国ビザを亡命者に売って生きていた。この店で、ある人物にドイツ軍発行の通行証を売ったら、足を洗ってカサブランカから出るという。通行証を1時間ほど預かって欲しいとリックに頼むウーガーテ。殺されたナチスの連絡員が通行証を奪われたことを思い出し、犯人がウーガーテと悟ったリック。通行証を預かり、サムの演奏するピアノに隠す。
ウーガーテの逮捕
リックは、闇市の大物フェラーリと話し、自分につきまとう女性イヴォンヌを追い返し、ルノー署長と話をする。シュトラッサー少佐に働きを見せるために、店で殺人犯を逮捕すると話すルノー。さらに、地下活動の大物でチェコスロバキア人のヴィクター・ラズロが、女と一緒に店にやってくるとも話す。シュトラッサー少佐が店にやって来る。ウーガーテは警官に連行されそうになり、隙を見て逃げ出してリックに助けを求めるが、結局捕まってしまう。シュトラッサー少佐のテーブルで、リックは地下活動をしていた過去について問われるが、のらりくらりとかわす。
シーン 1
見どころ
・互いの本質を見抜いているリックとルノーの会話
・ナチスへの意地を感じ・・・ させるルノーの言葉と、相反する行動
アメリカ人のリックは、カサブランカでバーとカジノをやっている。怪しげなウーガーテからも信頼されており、ただ者ではない雰囲気を漂わせ、シニカルで謎めいてもいる。ルノーはカサブランカのフランス警察のトップだ・・・
As Time Goes By(時の過ぎ行くまま)
1組の男女がリックの店にやって来る。ヴィクター・ラズロと妻のイルザ・ランドだ。その姿を見て驚いた表情を浮かべるサム。シュトラッサーとルノーは、ラズロに対して、翌日警察署に来るよう、物腰柔らかに命令する。ラズロはバーに行き、地下活動の仲間からウーガーテの逮捕を聞き、地下活動の会合に出席するよう頼まれる。一方、イルザはサムを呼び、「As Time Goes By(時の過ぎ行くまま)」を弾くように頼む。そこにリックがやって来て、イルザの姿を見て驚く。ラズロとルノーがやって来て、4人はテーブルを囲む。リックとイルザは過去について話すがぎこちない。リックを残し、ラズロたちは店を出て行く。
パリの回想
店を閉めた後、店のテーブルで1人酒を飲むリック。サムが帰るようにすすめるが、「女を待っている」とリックは断る。リックはサムに“あの曲(As Time Goes By)”を弾くように頼む。パリでの出来事を思い出すリック。イルザとのドライブ、乾杯する時の「君の瞳に乾杯(Here’s looking at you, kid)」、ダンス、キス。過去の男は1人だけで死んだと話すイルザ。ドイツ軍がパリに迫り、2人で逃げることに決めたが、イルザの様子がおかしい。待ち合わせの駅にイルザは現れず、別れの手紙を受け取るリック。雨に降られる中、リックは列車に乗ってパリを去る。思い出にふけっていたリックの元に、イルザがやって来る。別れの理由を説明しようとするイルザに冷たくあたるリック。イルザは店から出ていく。
シーン 2
見どころ
・別れを決意して、涙目でぎこちない表情を見せるイルザ
・「crazy ・・・ world」の伏線
・「キスして。これが最後のようなキスを」
リックが回想する、イルザとのパリ最後の日の様子。ドイツ軍がパリに迫り、リックは当然のようにイルザと一緒に逃げ出そうとしている。イルザは、用事があるので駅で落ち合おうと言う。マル・・・
シーン 3
見どころ
・未練に満ち溢れているが、素直になれないリック
・回りくどいイルザの説・・・ 明
・頬で止まるイルザの涙
未練たっぷりだが素直になれず、イルザに冷たくあたる酔っぱらいのリックを見ることができる。
イルザとのパリの日々をリックが回想しているところに、当のイルザがやって来る。すでにかなり酔っ払っているリックはイルザに・・・
通行証を持つリック
翌日、警察署。リックが通行証を持っていると疑っているルノーとシュトラッサー少佐。ラズロとイルザがやって来る。ラズロに地下活動組織のリーダーの名前を教えるように迫るシュトラッサー少佐だが、ラズロは断る。闇市の大物フェラーリの店。リックはフェラーリから通行証について聞かれるが、とぼける。そこにラズロがやって来る。入れ替わりにリックは外に出て、買い物をしているイルザに話しかける。リックは昨夜の非礼を謝り、説明の続きを求める。イルザは理由をはっきりと答えないが、ラズロとは結婚していることを告げて、ラズロの元に。ラズロとイルザは、リックが通行証を持っているという噂をフェラーリから聞く。
ブルガリア人の若妻
夜、リックの店。リックとルノーがいる。ドイツ軍の将校がイヴォンヌを連れてやって来て、フランス人と小競り合い。シュトラッサー少佐もやって来て、ルノーとテーブルで話をする。アメリカに向かうドイツ人夫婦と、もてなすドイツ人ウェイターの姿も。ブルガリアから亡命してきた若い女性がリックの元に来て、ルノーがどんな人物かを聞く。知りたい理由を聞くと、ビザを買う金がないが、ルノーが金以外の方法でビザをくれるというので、信用できるかを知りたいと言う。だが、女性の夫が何も知らないことを知ったリックは、カジノのルーレットのところにいる女性の夫に22に賭けるように言い、見事に当たる。夫婦は大金を手に入れ、ルノーに金でビザを買うと話す。このことを知ったカフェのウェイターやバーテンダーは喜ぶ。
ラ・マルセイエイーズ
店にやって来ていたラズロとイルザ。リックの部屋で、ラズロとリックは2人で話す。地下活動のためにアメリカに渡る必要性を話し、大金で通行証を売ってくれと頼むラズロ。だが、リックは断り、理由はイルザに聞くように話す。そこに、シュトラッサー少佐をはじめとしたドイツ兵たちによる愛国歌「ラインの護り」の合唱が聞こえてくる。ラズロは楽団にフランス国家「ラ・マルセイエーズ」を弾くように頼む。バンドリーダーがリックの方を見て確認を求めると、リックはうなづく。店内のフランス人たちが合唱し、その勢いに押され、ドイツ兵たちは歌うのをやめる。怒ったストラッサー少佐は、ルノーに店を閉鎖するように命じる。ルノーは賭博を理由に閉鎖を宣言する。
イルザのリックへの愛
ホテルに戻ったラズロとイルザ。通行証を売らない理由をイルザに聞けと言われたと話すラズロ。だが、イルザははっきりと答えない。ラズロは地下活動の会合に出かけていき、イルザも部屋を出てリックの元へ。通行証を売ってくれるように頼むイルザ。断るリックに銃口を向けるイルザだが、撃つことはできない。イルザは、今でもリックを愛していること、ラズロが収容所で死んだと思っていた時にリックと出会ったこと、パリを去る日にラズロが生きており郊外で衰弱していると知ったことを話す。イルザは2度とリックとは離れないと言い、2人はキスをする。その時、ウェイターの男と、腕にケガをしたラズロがやって来る。警官に追われて逃げてきたという。イルザを帰し、リックはラズロと話をする。イルザを助けるためにリックと2人で逃げるように頼むラズロ。警官が踏み込んできて、ラズロは逮捕される。
シーン 4
見どころ
・あくまで冷たいリック
・リックに変わらぬ愛を告白するイルザ
・頬を流・・・ れるイルザの涙
あくまでも冷たい態度を突き通すリックに、ついにイルザが折れる。
カサブランカから離れるための通行証を持つリック。ラズロに売ってくれと頼まれるも、リックは断る。理由を聞かれ、「イルザに聞け」とリックが答えたことを知ったイル・・・
ルノー署長を騙したリック
翌日、警察署。ルノーとリックが話をしている。通行証を自分が持っており、イルザと一緒に今夜飛行機で去ると話すリック。邪魔をされないために、ラズロに通行証を売るフリをし、受け渡しの際にルノーが逮捕するように持ちかけるリック。ルノーは承諾する。フェラーリに店を売る話をまとめるリック。夜、リックの店。ルノーが隠れているところに、ラズロとイルザがやって来る。リックが通行証をラズロに渡そうとすると、ルノーが出てきてラズロを逮捕しようとする。だが、リックは銃をルノーに向け、飛行場に電話をさせ、飛行機の離陸を許可するように命じさせる。だが、電話はシュトラッサー少佐にかかっていた。シュトラッサー少佐は、飛行場に向かう。
美しい友情の始まり
飛行場。リック、ルノー、ラズロ、イルザが到着する。通行証にラズロとイルザの名前を記入させようとするリック。リックとカサブランカに残ると思っていたイルザは動揺するが、リックによって説得される。2人の関係は過去のものとラズロに話すリック。イルザはラズロとともに飛行機に乗り込む。シュトラッサー少佐がやって来て、飛行機を止めようとする。リックはシュトラッサー少佐を撃つ。銃声を聞いて警官たちがやって来るが、ルノーはリックをかばう。2人きりになったルノーは、リックに地下活動の拠点に身を隠すように話す。2人は霧の飛行場を歩いて行く。
シーン 5
見どころ
・次から次に出てくる名ゼリフ
・トレンチコート姿のリック
・リックとイ・・・ ルザを真横から撮影したショット
ハンフリー・ボガートの代名詞にもなっているトレンチコート姿、連発される名ゼリフ、ボギーとイングリッド・バーグマンのコンビネーションを堪能できる。
リック、イルザ、ラズロ、ルノー署長の4人は、飛行場へやって・・・
シーン 6
見どころ
・実は愛国者でもあったルノー
・捨てられるヴィシー水
・「ルイ、これが・・・ 俺たちの友情の始まりだな」
リックとイルザの物語は終わり、リックとルノーの新しい友情が始まる。
イルザとラズロは飛行機に乗り込み、飛行機は滑走路へ向かう。そこに、ルノーからトラブルの連絡を受けていた、ナチスのシュトラッサー少佐がやって来・・・
シーン 1
カサブランカ
見どころ
・互いの本質を見抜いているリックとルノーの会話
・ナチスへの意地を感じ・・・ させるルノーの言葉と、相反する行動
アメリカ人のリックは、カサブランカでバーとカジノをやっている。怪しげなウーガーテからも信頼されており、ただ者ではない雰囲気を漂わせ、シニカルで謎めいてもいる。ルノーはカサブランカのフランス警察のトップだ・・・
シーン 2
カサブランカ
見どころ
・別れを決意して、涙目でぎこちない表情を見せるイルザ
・「crazy ・・・ world」の伏線
・「キスして。これが最後のようなキスを」
リックが回想する、イルザとのパリ最後の日の様子。ドイツ軍がパリに迫り、リックは当然のようにイルザと一緒に逃げ出そうとしている。イルザは、用事があるので駅で落ち合おうと言う。マル・・・
シーン 3
カサブランカ
見どころ
・未練に満ち溢れているが、素直になれないリック
・回りくどいイルザの説・・・ 明
・頬で止まるイルザの涙
未練たっぷりだが素直になれず、イルザに冷たくあたる酔っぱらいのリックを見ることができる。
イルザとのパリの日々をリックが回想しているところに、当のイルザがやって来る。すでにかなり酔っ払っているリックはイルザに・・・
IMDb
人物 1
カサブランカ
俳優:ハンフリー・ボガート
リック・ブレインは、カサブランカの酒場「カフェ・アメリカン」の経営者。かつては闘・・・ 士としてエチオピアやスペインのために活動していた。パリでイルザと出会い恋に落ちるも、パリ陥落の日にイルザに去られ、その後カサブランカに落ち着く。ヴィクター・ラズロとともに「カフェ・アメリカン」にやって来たイルザと再会。過去を思い出し、苦悩す・・・
IMDb
人物 2
カサブランカ
俳優:イングリッド・バーグマン
イルザ・ランドは、ヴィクター・ラズロの妻で、リックの元恋人。パリで知り合いになっ・・・ たリックと恋仲になるが、パリがドイツに迫って来た時に、リックの前から姿を消す。その後、カサブランカで酒場を運営するリックの前に、夫ヴィクター・ラズロとともに姿を現す。
リックの店を訪れた際には、サムを呼び、思い出の曲「時の過ぎゆくままに(・・・
IMDb
人物 3
カサブランカ
俳優:ポール・ヘンリード
ヴィクター・ラズロは、レジスタンスの闘士のリーダーで、イルザの妻。収容所で死んだ・・・ と思われていたが、生きていた。レジスタンス活動を継続するために、アメリカに渡ろうとしている。経由地のリスボンに向かうため、妻のイルザとともにカサブランカにやって来た。
ウーガーテから通行許可証を購入してリスボンに向かうはずだったが、ウーガ・・・
IMDb
セリフ・名言 1
カサブランカ
0:10:20頃
2人のドイツ兵が殺され、持っていた通行許可証が奪われる事件が起・・・ きた。ウーガーテが絡んでおり、奪われた通行許可証はウーガーテが持っている。そのウーガーテが、リックの店にやって来た時のリックとのやり取り。皮肉屋のリックらしい受け答えをしており、皮肉屋であることを自分で認識していることが分かる。
・・・
IMDb
セリフ・名言 2
カサブランカ
0:11:20頃
ウーガーテは、どこからか出国ビザを入手して、カサブランカで足止・・・ めを食らっている人々に高額で売って金をもうけていた。また、警察署長のルノーも同じように出国ビザを売りさばいていた。そのことを知っているリックとウーガーテの皮肉のこもったやり取り。
・・・
IMDb
セリフ・名言 3
カサブランカ
0:11:45頃
ドイツ兵から奪った通行許可証を、ウーガーテはリックに預かっても・・・ らおうとする。その理由の言葉。
・・・
音楽 1
カサブランカ
「ラ・マルセイエーズ」は、フランス革命の時に歌われ、後にフランスの国歌となった曲・・・ 。「カサブランカ」では、シュトラッサー少佐をはじめとするナチス・ドイツの将校がドイツの愛国歌「ラインの守り」を歌っているのを聞いたレジスタンスの闘士ヴィクター・ラズロが、バンドに命じて演奏させて高らかに歌い対抗する。フランス人の客たちも歌い・・・
音楽 2
カサブランカ
もともとは、1924年に発売されたポピュラー・ソング。ビリー・ホリデイ、レイ・チ・・・ ャールズなど多くのミュージシャンによってカバーされている。映画「恋人たちの予感」(1989)でハリー・コニック・ジュニアが歌う曲が使われたことで知られる。
「カサブランカ」では、リックの「カフェ・アメリカン」が初めて紹介される時に、サムが・・・
音楽 3
カサブランカ
「カサブランカ」では多くの既存の曲が使われているが、「Knock on Wood・・・ 」は唯一のオリジナル曲。リックの「カフェ・アメリカン」でサムがピアノを弾きながら歌う(0:12:45頃)。客たちに「トントンと木をたたきましょう」と呼びかけて、演奏に参加してもらう。この曲の演奏中に、リックはウーガーテから預かった通行証をサ・・・
キーワード 1
カサブランカ
タイトルにもなっている「カサブランカ」は、海に面したモロッコの都市のこと。映画の・・・ 舞台となっている時代はフランス領だったが、フランスがドイツに降伏したため、間接的にドイツが統治している。治安はフランス警察が守っているものの、ドイツ軍の将校の命令には逆らえない立場にある。
ヨーロッパからアメリカに向かう人々が、リスボンに・・・
キーワード 2
カサブランカ
映画「カサブランカ」で描かれている時代は第二次世界大戦の最中である。フランスがド・・・ イツに降伏した後で、連合国側のプロパガンダ映画の要素を持っている。レジスタンスの闘士であるヴィクター・ラズロが「ラ・マルセイエーズ」を歌うシーン、ドイツ軍の顔色ばかり伺っていると思われたフランス警察のルノー署長がヴィシー水(占領されたフラン・・・
キーワード 3
カサブランカ
映画「カサブランカ」の登場人物の国籍は多種多様である。リック・ブレインはアメリカ・・・ 人、イルザ・ランドはスウェーデン人、ヴィクター・ラズロはチェコ人である。シュトラッサー少佐はドイツの軍人で、ルノー署長はフランス人である。
ウェイターのカールはドイツ人、バーテンダーのサッシャはロシア人、リックがルーレットで勝たせてやる若・・・